中年週末ハンターの工作教室

狩猟に役立つ道具の自作事例と体験談など

ひとのことはひとのこと

 ブログやSNSで猟果報告の投稿をよく目にするようになった。北海道に続いて本州が猟期に入り、Twitterにシカの死体が転がらない日はないと言っても過言ではない。(4重否定)


 こうした猟果報告を聞いくと、正直「羨ましい」という感情が生まれることは否めない。場合によっては妬ましいと思うこともあるかもしれない。猟欲があればこそで、人間なのだから仕方がないとも思う。
 しかし冷静に考えてみると、そのほとんどは自分の行動範囲外での出来事であり、たとえ範囲内だとしても人が獲れたたから自分が獲れなくなるような類のものでもない。要するに、自分の獲物を横取りされたわけではないので自分の猟果にはまず関係のない話だ。
 また、ほとんどの人は獲物が獲れた時のことだけを投稿する。ボウズだった日のことを投稿する人は少ない。そうしてこういった投稿は狩猟の華やかな部分だけが際立つ。獲物を発見するまでの苦労や回収〜解体〜持ち帰るまでに至る大変さを印象付けるような投稿は稀である。そのこと自体は仕方がないと思うが、今一度冷静になってこうした華やかな投稿の裏に隠れた地味で大変な苦労の部分を想像してみても良いのではないだろうか。(獲物を探して見つからないことも、解体で失敗することも、その全てが「初めて」の貴重な体験であり、総じて「楽しい」ことは強調しておく)


 一つ心配なのは、こうした投稿の華やかな部分だけを見させられて、これから狩猟を始める人や始めたばかりの人が、勘違いをしてしまわないかということである。「獲物が簡単にホイホイ取れるんだ」と甘くみてかかるのも危険だが、より気をつけたいのは「他の人はあんなに獲れるのに、自分はさっぱりだ、なんとかして俺も獲らないと…」という焦りから危険な行動をとってしまうことである。


 特にSNSでは猟友会に否定的な意見も多く、単独猟の人が多いように見える。単独だと煽る人もいないが、止めてくれる人もいないので、焦って危険な行動をとってしまう懸念がより強くなる。より一層心穏やかに、安全狩猟に努めてもらいたいと思う。


 猟友会の人間関係が煩わしいのはわからなくもない。私は猟友会偏差値で言ったら65は超えてる恵まれた支部に入れたと思っているが、引っ越して支部を変えたハンター仲間の話を聞いても、世の中いい支部だけでないことは想像に難くない。
 しかし、獲物や自然と対話しようとするハンターが、言葉の通じる(通じない人もいるが)他のハンターと適切なコミュニケーションを取れなくてどうするのか。猟友会の中に一人も信頼できる人がいないのであればさっさと見切りをつけたら良いが、一人でもいるなら適当な距離感を保って付き合って行くのが良いと思う。


 最終的に自分には単独猟が向いているということになっても、先人から学ぶことは多い。特に山野の多くは人様の土地であり、そこに立ち入って獲物を追うわけなので、地元ハンターの情報は決して本やネットでは知り得ないものだ。山を持っている人なら別だが、免許は取ったけどどこから入っていいかわからない、ということでは猟場以前の問題だろう。


 もう一つ。ハンター同士で足を引っ張り合うことほど愚かしいことはない。たとえ気に食わない奴でも、狩猟アンチのエセ自然愛好者から見たら、彼も貴方も同様に憎むべき攻撃対象だ。我々の敵は狩猟界隈の外にいることは忘れないようにしたい。


 実際に私も初年度から、雪が融けて伝統猟法(?)が使えなくなる3月には、単独で山に入って獲物の痕跡を探している。獲れたことはないのだが、誰に気を使うわけでもなく、自分のペースで山中を歩くのはそれはそれで楽しい。最近書籍やSNSで仕入れた情報を単独猟で早く実践して確認してみたいと思う。


 初めから単独猟を目指す人は、それこそ山のように書物を読み、猟期前にも頻繁に山に通い、よく観察し、考えて改善しながらものすごい労力をかけている。その姿勢は尊敬しているが、とてもサラリーマンハンターに真似できる事ではないと思っている。


 私は私、他人のことは自分の狩猟を改善するための参考にはするが、競うものではないと言い聞かせて、明日はいよいよ今期初出猟、行ってきます。


ご安全に!